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2005年9月/10月号

外国銀行における支払利子控除額の算出方法に関する変更

Thomas J. Meehan

トーマス・ミーハン

筆者: 

トーマス・ミーハン(ニューヨーク事務所、税務シニア・ マネジャー)tmeehan@kpmg.com

訳者: 

門間利江(ニューヨーク事務所、ジャパニーズ・プラクティス 税務マネジャー)tmomma@kpmg.com

2005年8月、財務省とIRS (内国歳入庁)は、Notice 2005 - 53において、米国内で業務を行う外国銀行における支払利子控除額の算出方法に関する現行の規則(財務省規則第1.882-5条)を変更する見通しであることを明らかにした。

Notice2005-53 は、コンプライアンスの促進と現在の経済状況をよりよく反映させることを目的に、財務省規則第1.882-5条の一部を変更させることを説明している。尚、変更内容のうち、少なくとも1項目については、当通知の公表日である2005年8月8日以降に開始される課税年度より適用されることになる。

背景

1996年3月に施行された財務省最終規則第1.882-5条は、米国支店を通じて業務を行う外国銀行の支払利子控除額の算定について明記している。当規則では、外国銀行に対し下記のように定められた3つのステップからなる算出方法に従い、米国実質関連所得(ECI)に配分される支払利子控除額を算定するよう定めている。

第1ステップ: 課税年度の米国実質関連資産(U.S. Assets)の算定
通常、米国実質関連資産とは、外国銀行が有する資産のうち、米国内で従事する業務から発生する所得に実質的に関連する資産を指す。資産の算定には、一般的には税務上の簿価を用いるが、納税者の選択により時価を使用しても構わない。

第2ステップ: 米国実質関連負債 (U.S. Liabilities)の算定
米国実質関連負債は銀行全体(全世界ベース)に対する平均負債対資産の比率(実質率)を、第1ステップで計算した米国実質関連資産額に掛け合わせて計算する。実質率の代わりに固定率(現行は93パーセント)を選択することも可能である。尚、第1ステップで時価を使って算定した場合は、全世界ベースの資産の算定にも時価を用いる必要がある。

第3ステップ: 支払利子控除容認額の算定
この計算は通常、修正米国帳簿負債法(AUSBL)に基づいて行われるが、通貨別資金法(SCP)を選択することも可能である。AUSBLでは、外国銀行における支払利子控除容認額は、米国帳簿上の支払利子額が基準となる。米国帳簿負債が米国実質関連負債以上の場合、米国実質関連所得に対する支払利子控除額は、米国帳簿上の支払利子額にスケーリング率(米国帳簿負債に対する米国関連負債の比率)を乗ずることにより算出される。一方、米国実質関連負債が米国帳簿負債以上の場合、米国帳簿上の支払利子全額に加え、更に、米国実質関連負債が米国帳簿負債を超過した額に米国外の米ドル平均調達レートを掛け合わせて得られた額についても控除が認められることになる。

SCPを用いる場合、支払利子控除容認額は、通貨別にECIを計算し、通貨ごとに平均負債対資産の比率(実質率)を乗じ、通貨別の米国関連負債に、全世界ベースの通貨別平均調達レートを乗じて算定する。

Notice 2005-53によれば、財務省とIRSはこれらの規則の適用について、1996年の施行日以来監視を行ってきた結果を基に銀行業界の状況を鑑みるすると、規則に対する一定の変更は業界のコンプライアンス遵守を促進することにつながると結論付けている。

外国銀行における支払利子控除と日米租税条約

Notice 2005-53は、財務省規則第1.882-5条と日米租税条約間の調整に関するガイダンスについても一部言及している。現行の財務省規則第1.882-5(a)(2)条は、「日米租税条約における恒久的施設から発生する事業収益に帰属する支払利子額の算定に関する独占的な規定」条項を設けている。しかし、IRSはイギリスや日本との新租税条約の締結によって、現行の規定がもはや現状とかけ離れているため正確でなく、規則を修正することで削除するという見解を示している。現行の米英租税条約と日米租税条約における交換公文により、租税条約第9条(1)は恒久的施設に帰属する収益の原則を採用している。 両国の交換公文では、金融機関における資本の配分について以下の通り述べている。

「・・・恒久的施設と同一または類似の活動を行う個別のかつ分離した企業であるならば、その活動を行うために必要な資本の額と同額の資本の額を有しているものとして締結国が当該恒久的施設を取り扱う。締結国は、金融機関(保険会社を除く)に関して、その自己資本の額を当該金融機関の資産(リスクの評価を考慮して算定した額)のうち、その各事務所に帰せられるものの割合に基づいて配分することにより、恒久的施設に帰せられる資本の額を決定することができる。」

米英租税条約と日米租税条約のTechnical Explanationsでは、財務省規則第1.882-5条で定められている配分方法は、恒久的施設に帰属する資産に対するリスクの評価を考慮しておらず、あるケースにおいては、平等にリスクの評価を行った場合、納税者が米国の資産として本来配分すべき以上の資産配分をすること(結果として支払利子控除容認額の減少につながること)を要求する場合もあり得ると認めている。

従って、外国金融機関の米国内恒久的施設に対する課税額の上限設定を行うに当たり、両国の租税条約は、イギリスと日本の金融機関が課税所得を算出する上で、財務省規則第1.882-5条における支払利子控除額を考慮せずに、代替的アプローチを取ることを認めている。この租税条約における代替的アプローチは、外国銀行の資産のリスク評価を考慮することと、租税条約第7条及び9条(1)に規定されている独立企業間価格原則に沿うことによって、財務省規則第1.882-5条の規則からは当然逸脱すると共に、外国銀行の資産のリスク評価を考慮することになる。

交換公文とTechnical Explanationsに反映されている通り、両国の租税条約下では恒久的施設に帰属する収益の決定において十分な資本の配分を行うことが要求されている。納税者の帳簿上の資本金は確定的ではないため、恒久的施設に帰属すべき資産とリスクの評価額を支持するだけの分配が行われていれば十分ということになる。

財務省とIRSは従来から、財務省規則第1.882-5条の適用は恒久的施設への十分な資本の配分につながると捉えており、租税条約における代替的方法を採用するよりも規則上の計算方法を採用するほうが簡単であるとしている。両国のTechnical Explanationsに明記されている通り、納税者となる外国法人は租税条約のリスク比重法によって資本の配分を行うことは要求されていない。むしろ、納税者は租税条約における代替的アプローチとして、財務省規則第1.882-5条を採用し続けることも選択できることになる。

米国実質関連負債−固定率93パーセントの是非

Notice 2005-53 において財務省とIRSは、現在米国実質関連負債の算定に使用されている93パーセントの固定率が実際に適当な数値かどうかについて検討中であり、94〜96パーセント内の数値への引き上げが妥当かどうかの検討に関する参考データの提供を納税者に呼びかけている。必要とされている関連データには、各銀行の米国内外における資産の性格やリスクの評価を比較したものなどが挙げられている。

修正米国帳簿負債法における超過米国関連負債に関連した利子控除額の算出方法

今回の変更により、従来、財務省規則第1.882-5(d)(5)条にて修正米国帳簿負債法(AUSBL)における利子控除額の算出に使われていた米国外の米ドル平均調達レートに代わって、Notice 2005-53の公表日以降に開始される課税年度において、納税者は、30日平均LIBOR値(ロンドン銀行間取引金利)を使った算出方法を選択できるようになる。

第1ステップにおける時価の使用と、第2ステップにおける固定率の使用について

最後に、当該通知には、現在米国実質関連負債の算定に使用されている固定率(上昇する可能性がある)を選択した納税者が、同時に実質関連資産の算定に時価を採用できるように許可し続けるかどうかに関する業界からのコメントに基づき、それらを再検討していくことが示されている。財務省とIRSは、今回の変更が米国実質関連負債の算定において固定率と時価を同時に選択することにより、実際の数値にひずみを生じさせないかを懸念している。

意見書の提出

Notice 2005 - 53では、納税者からの意見書提出に関する詳細についても説明している。当通知に関する分析や意見書の提出等に関するご質問・ご相談は下記のKPMG担当者まで。

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